家の借金のせいで、俺は奴隷として売られた。
誰にも買われなければ、逃げるつもりだった。
――そんな俺を買い取ったのは、貧乏貴族のお嬢様。
彼女は母の形見を売ってまで、俺を助けてくれた。
「一緒にダンジョンで学費を稼いでほしいの」
魔法がほとんど使えないお嬢様の代わりに、
俺は影で高額モンスターを狩る。
けれど、手柄はすべてお嬢様のものだ。
主人より強い執事がいるなんて、面倒なだけだから。
漆黒のローブで正体を隠し、
今日も俺は、お嬢様の夢を守るために剣を振るう。
――そんな俺の“本当の力”を、
お嬢様はまだ知らない。