借金のカタに新興商人へ嫁いだ没落侯爵令嬢クラリス。愛のない白い結婚の初夜、夫が差し出したのは離縁状ではなく、「寝室は別。代わりに、工房の経営権を半分ください」という契約書だった。
実家に「はしたない」と封じられた意匠の才を、夫アーロンだけが正当に値付けしてくれる。傾いた銀細工工房を「妻」ではなく「共同代表」として立て直すうち、談合まみれのギルド議長、嘲笑う社交界、才能を盗んだ過去の因縁が立ちはだかり——。
愛の言葉はひとつもないのに、契約書の条項が増えるたび、ふたりの距離は縮まっていく。恋より先に、決算で結ばれる夫婦の物語。見下したすべてに、実績でお返しします。