わたし、ミリア・ベルカは、小さな商会を継いだばかりの若き商会主です。
お金はない。
倉庫は狭い。
荷車も足りない。
あるのは、父が残した古い店と、止まりかけた商いだけ。
そんなわたしの前に現れたのは、クロードさん。
彼は、物の流れが止まっている場所を見抜く、不思議な目を持っていました。
足りない小樽。
届かない桶。
余っているのに使えない在庫。
帳簿では足りているのに、現場では足りない物資。
クロードさんが流れを見て、ロイが帳簿で整え、わたしが現場を走る。
小さなベルカ商会は、南区の炊き出し場、西区の施療院、鍛冶場、職人たちを少しずつつないでいきます。
けれど、商売の世界はきれいごとだけではありません。
大きな商会の圧力。
役人の印。
帳簿にあるのに、倉庫にない荷。
そして、領主館からの依頼。
「帳簿では、煮込みは作れません」
「棚にない物は、使えません」
わたしはまだ未熟です。
すぐ驚くし、すぐ声も大きくなります。
でも、もう逃げません。
小さい商会だからこそ、見えるものがある。
小さい商会だからこそ、止まった流れを動かせる。
これは、貧乏商会を継いだわたしが、仲間と一緒に商いを立て直し、やがて王国の物流と経済を動かしていく物語です。