気がつけば、私はクモになっていた。
しかも――湿度90%、カビ臭充満、採光ゼロの洞窟で。
いや、無理。
魔物とか以前に、この環境が無理。
前世は建築とインテリアをこよなく愛する女子高生。
そんな私にとって、この場所は完全なる“事故物件”だった。
だが、絶望するにはまだ早い。
この体には、クモの糸という高性能素材がある。
さらに、土や空間に干渉する、謎の力まで備わっていた。
なら――やることは一つ。
「この洞窟、リフォームします」
カビは殲滅。湿気は管理。動線は最適化。
快適性こそが正義。QOLこそが最強。
魔物?
部屋に入れなければ問題ない。
戦わない。争わない。
ただひたすらに、“住みやすさ”を極めるだけ。
――これは、最弱モンスターが
生活の質だけで迷宮を支配していく物語。