俺の幼馴染は余命宣告をされる程の難病に冒されていた。小さい頃の俺は、幼馴染の病気の完治を祈り、彼女を励ますため、日夜彼女の入院する病院に通っていた。
弱気な彼女を励ますため、不器用な笑みを貼り付けて、俺は冗談交じりに彼女を何度も窘めていた。
彼女の容体は日に日に悪化していく。
俺は無力で、彼女に出来ることは何もなかった。
彼女の両親は、彼女の治療のため外国に旅立つ決意を固めた。
「また会おうね」
最後の俺の激励の言葉に、幼馴染は笑顔を見せるだけで返事をしてくれることはなかった。
多分、彼女は自分の死期を悟っていたのだ。
その後、俺達は二度と会うことはなかった。
なんてことはなかった。
高校生になり、病を治して帰国を果たした彼女は、死線を潜り抜けた影響か、病魔に苦しんでいた頃とは打って変わって、底抜けに明るい性格になっていた。
端正な顔立ちも相まって、彼女は一瞬でクラスの人気者になった。
一方俺は、クラス内に碌に友達もいない日陰者。
常に色恋沙汰の話題の中心の彼女の噂を聞く度、俺は自分と彼女が住む世界が違うことを認識させられるのだが……。
一度死にかけた彼女は、とにかく執着心が強かった。