「やめてくれ、それは――俺を殺してくれる|呪印《救い》だから――」
呪いが言葉を灰にする。
彼女は微笑みながら、白い指先で俺の胸にそっと触れた。
――ドクン、と世界が脈を打つ。
どろりと黒く濁った印が俺の肌から浮き上がり、彼女は慈しむようにそれを両手で包み込む。
それは魂に深く根を張り、俺を形作っていた帝国の鎖。
「ダメよ。まだ死なせない」
彼女の美しい笑顔を最後に、俺は引き裂かれるような痛みで意識を手放した。
◆◆◆
暗殺者の少年の呪印を自身に移して眠りについた魔女の少女・クラリス。十年後、目覚めた彼女に彼はすべてを捧げて守ります。
彼女は古巣の帝国が血眼になって探している魔女だから。
魔女が眠ってからの十年と、それから先のお話です。
※注意:ジャンルは恋愛ですが、恋愛になるのは後半からになります。
お気を付けください。
※オリジナルの世界観で書いております。
細かい表現は気にせず、お話を楽しんでいただけると幸いです。