プロチーム《白騎士団》の軍師ジン――神代冬司は、誰よりも勝利に貢献しながら、その仕事が“地味すぎる”という理由で一軍を外された。
勝つためにゲームを続けてきた男は、失業したその夜、すべてを捨てて新規アバター《アイズド》としてEHOにログインする。
効率も、収益も、配信映えも関係ない。
ただ、誰も見向きもしない場所へ行ってみたい。
そうして彼がたどり着いたのは、攻略サイトにも載っていない旧時代の遺構。そこで五十万円分の対価を支払い、手に入れたのは、三十種の形態を管理しなければまともに扱えない隠しジョブ《古代変形機装》だった。
普通のプレイヤーなら三秒で投げる産廃。
だが、十年間すべての戦況を読み続けた元軍師にとって、それは最高に面倒で、最高に面白い玩具だった。
黒鉄の重装騎士を装い、正体を隠しながら、アイズドは白銀の剣を隠す灰衣の少女ルナと共に、誰も価値を見出さなかった素材、忘れられた炉、買い叩かれた村、そして世界樹の根に眠る禁忌へと触れていく。
これは、勝つためにゲームをしていた男が、もう一度“遊ぶ”ために世界の余白を攻略する物語。