勇者の剣を置いた男が育てたのは――魔王の娘だった。
かつて人々の希望であった元勇者・ジルドラン。
だが名声は奪われ、今や一介の辺境戦士。
そんな彼が出会ったのは、命を狙われる赤子――亡き魔王の娘だった。
「この子は、俺が守る」
人間の敵とされる彼女を、あえて『娘』として育てる道を選ぶ。
不穏な謎を孕む村での育児生活。
笑いと涙、悩みと幸せ。父としての十五年――
だが、少女はやがて運命に向き合い、旅立つ時を迎える。
父から娘へ、剣と想いは受け継がれる。
これはただの子育て譚ではない。
ひとりの男と、ひとりの少女が、それぞれの過去と未来を生き抜く物語。
「お父さん、私はあなたみたいになりたい」
運命に抗い、世界と向き合う、ふたりの英雄譚がここに始まる――!