かつて『勇者』と呼ばれた男、ジルドラン。
だが、少年勇者の登場により称号を奪われ、一介の戦士として辺境へ飛ばされた。
新たな任地へ向かう途中、魔族に襲われる女性と赤子に遭遇。
助けに入るが、女性は命を落としてしまう。
彼女が守ろうとしていたのは、なんと――『魔王の娘』
亡き魔王の血を引くがゆえに、命を狙われる哀れな赤子。
この赤子に頼れるものはなく、守ってやれるのは元勇者のジルドランのみ。
彼は赤子を守ると決意し、娘として迎え入れた。
ジルドランは赤子を守るために、人間と魔族が共存する村の噂を頼り、そこへ向かう。
噂は本当であり、両種族が共存する村はあったのだが――その村は村でありながら、軍事力は一国家並みと異様。
その資金源も目的もわからない。
不審に思いつつも、頼る場所のない彼はこの村の一員となった。
その村で彼は子育てに苦労しながらも、それに楽しさを重ねて毎日を過ごす。
だが、ジルドランは人間。娘は魔族。
血が繋がっていないことは明白。
いずれ真実を娘に伝えなければならない、王族の血を引く魔王の娘であることを。