【全25話+閑話5話/完結まで執筆済み】
「泥を啜ってでも生きろ。そして、あの狸の天下を地獄に変えてみせろ」
四百年後の未来から、暗殺と裏切りが渦巻く戦国大名・宇喜多家の嫡男として転生した男。
「宇喜多騒動」という史実の絶望と、明日をも知れぬ恐怖に精神をすり減らしていた彼は、ある夜、羽柴秀吉から差し出された一つの「握り飯」によって魂を救われる。
その瞬間、現代人のひ弱なエゴは死んだ。
産声を上げたのは、秀吉の創る「黄金の世」に己の全てを捧げ、豊臣の義に殉じる狂犬――宇喜多秀家だった。
慶長五年、関ヶ原。
史実最大の敗因である身内の裏切りを、現代の冷徹な論理と狂信的な暴力で事前に粛清した秀家は、寝返った小早川秀秋の軍勢を松尾山の麓で無慈悲に粉砕する。しかし、奮闘虚しく戦線は崩壊。彼は絶海の孤島・八丈島へと流罪になる。
だが、狂犬の牙は折れてはいなかった。
表向きは六畳一間で余生を送る流人。その裏で彼は密貿易網を築き、肉体を極限まで鍛え上げ、密かに私兵と軍船を造り続けていた。
すべては、十数年後に訪れる「大坂の陣」で、徳川家康の喉笛を喰らい千切るために。
「我こそは五大老が一人、宇喜多秀家なり!」
これは、豊臣への狂信を胸に宿した男が、史実の因果律を物理的に蹂躙し、燃え盛る大坂の炎の中で最も美しく、凄惨に散るまでの反逆の記録。