“檻”の中で、『私』は紅に見初められた。
人ならざる者たちの闇のオークション。
売られるはずだった人間の『私』は、ひとりの男に選ばれる。
紅い瞳を持つ、美しく冷たい
世界を編む幻獣――ルシェリア。
「ようこそ、僕の箱庭へ。君が逃げた檻よりも、少しだけ甘い檻ですよ」
囚われたはずなのに、彼の言葉はなぜか心を溶かしていく。
彼の冷たさの奥にある孤独と
底知れぬ愛を知ってしまったあの時から
もう運命は決まっていたのかもしれない。
これは、優しい檻と甘い鎖に囚われた二人の幻想譚。
「君がここで息をする限り――僕は、君を手放さない。」
鈴の音が響くたびに、紅が笑う――。