子爵令嬢ミュゼは、幼い頃から宮廷調香師になるのを夢見ていた。
有名調香師の孫と婚約し、彼の工房で働いていたが、ある日すべてを奪われてしまう。
婚約は最初から利用するためのものだった。
ミュゼが作り上げてきた香水のレシピも実績もすべて婚約者に奪われ、追い出されてしまったのだ。
絶望するミュゼの前に現れたのは、学園時代の同級生で侯爵令息にして宮廷書記官のアシル。
なぜか彼はミュゼのことを信頼し、王都で再出発する機会を与えてくれる。
宮廷調香師のコンテストへの参加資格を得るため、ミュゼは貴族たちから持ち込まれる難しい依頼を引き受けていくことになる。
やがて王都随一の調香師として名が知られるようになった頃――
その噂は、ミュゼを捨てた元婚約者の耳にも届くことになる。
奪われたものは、実力で取り戻す。
これは、すべてを失った調香師の再起の物語。