ある種、彼は最期の転生者なのだと言える。
流れゆく時代の中で、世界がひとつの分岐点にあるとして。
数多の同胞を、その手にかける未来を選んだとして。
最期の転生者であるという事実を望みこそしなくとも、彼はそれを直視し、きっと忘れることはない。
停滞を拒む「虚無」は、ひとつの「自由」を傍に。
世の中の誰もが流れに身を任せるなかで、彼ばかりは我武者羅に前を向き、生まれた余地に手を伸ばす。
心が壊れても、どれだけの失敗を経ても。
何を得たかすら、わからなくなっていたとしても。
そして、だからこそ彼は「愛」という帰結を得る。
十代後半の子供に背負わせるには、ひどく重い、それでいて深いものばかりを。
果てには、それらをも飲み込むとして。
生き急ぐばかりの子供は、どのように枝を伸ばすのか。
異邦人でありながら、根差す場所は何処なのか。
ひとりの青年の成長を描く、異世界転生ファンタジー。