三年間、約束は一度も守られなかった。
侯爵令嬢ノエラの婚約者は、病弱な妹アリアが「倒れた」と聞くたびにノエラとの約束を破った。
誕生日も、舞踏会も、「妹が心配だから」のひと言で消えた。
三年目の誕生日。
また同じ言葉を告げられた瞬間、ノエラは静かに婚約指輪を外した。
「もう、大丈夫です」
──泣かなかった。泣くには長すぎた三年だった。
父の紹介で辺境伯領の再建を手伝うことに。
辺境伯ルシアンは寡黙だが、約束した時間に必ず現れ、提案は必ず検討し、成果を出せば「悪くない」と認めてくれる。
──それだけのことが、どうしてこんなに胸を打つのだろう。
一方、王都ではノエラの元婚約者に嫁いだアリアが公務を次々キャンセル。
王宮筆頭医師の検診で──妹の「病弱」はただの嘘だったと証明される。
嘘の上に立つ城が崩れていく王都と、
約束を一つずつ積み上げていく辺境。
これは、奪われ続けた姉が自分の手で人生を取り戻す物語。
※全10話完結。
7:00と21:00に投稿予定。
ハッピーエンド保証です。