守下芹奈(12歳)は、夕方学校へ自転車で戻る途中、交通事故に遭って死亡してしまった。
彼女が目覚めると、そこは雲の上の別世界だった。
『ここは幽界でございます』
『通常なら、冥界行きの定期船にご乗船していただくのですが、守下様は、特別枠で一週間後、運命の三女神さまにご面会していただく事になっております』
芹奈は言われるままに幽界の案内人に連れられ、ヒーリングルームで過ごし、その間、夢の中で友達と別れ、たっぷり泣いて寝たあとは、いよいよ運命の三女神に会いに行く。
運命の糸工場では、運命の三女神が現れ、芹奈の死亡に関与した風の精霊シルフが捕まっていた。
本来人間に力を与えてはいけないのに、芹奈に力を与えてしまったシルフ。罰として、芹奈の魂と命の契約をしなさいと、風の大精霊からの命令があったのだ。
芹奈がシルフと命の契約をするということは、「芹奈」の魂のまま、今世を生きていかなければならない。
芹奈は特に躊躇することなく、シルフと『命の契約』に応じる。
運命の三女神が見守るなか、命の契約をした風の精霊は、中級精霊に昇格。小さな精霊は、いきなりミントグリーンの綺麗な髪の少年に変身。空色の瞳がとても魅力的な少年。
大きくなった精霊の少年に、「シルフは下級精霊の名前だから、俺に名前を考えてくれ」と頼まれる。
実はこの少年、昇格すると、自然に名前が変わることを知らず、【名付けの契約】という存在も知らずにお願いしてしまったのだ。
芹奈はシルフを「シルフリード」と名付けると、【名付けの契約】が発動。魂と精神が繋がり、徐々に気持ちが同化していくように。
ただし、芹奈が死ぬと、シルフリードも消滅してしまう。そんなリスクがあったのだ。
一度はがっかりするものの、芹奈と契約したことで、人間の感情を知ることになり、「寂しさ」や「痛み」それと「愛される喜び」を知り、長年一人で自由に生きてきた生活を辞めて、転生後も芹奈(転生後はセレーナ)と共に生きていくことを誓う。
一方、前世ではいつも一人だった芹奈は、シルフリードが側にいることで気持ちに変化が……。
『前世とは違う。今は寂しくない』
風の精霊シルフリードと共に、セレーナ(芹奈)の精霊使いとしての人生が幕を開ける。
家族愛と心の成長物語