目が覚めると、俺は平成十年の春、小学四年生に戻っていた。
スマホはなく、ランドセルは少し重くて、台所には母さんの朝ごはんがある。
もう戻れないはずだったあの頃が、普通にそこにあった。
一周目の人生は、別に大きく失敗したわけじゃない。
ただ、勉強も、友達も、恋愛も、お金のことも、なんとなく流してしまった。
もっとちゃんとやっておけばよかった。
そんな普通の後悔だけが残っていた。
未来のことは知っている。
でも、小学生の俺にできることは少ない。
いきなり大金持ちにはなれないし、青春だって思い通りにはならない。
だからまずは、朝ごはんを食べて、学校へ行って、友達の誘いに乗るところから始める。
勉強も、人間関係も、少しずつ積み直していく。
小さな日常をやり直していくうちに、少しずつ人間関係も、見える世界も変わっていく。
戻れないはずだったあの頃から、人生をもう一度やり直す物語。