現代から剣と魔法の世界へ異世界転生したサラリーマン、村上拓哉。
小さな国、アルナーグの第三王子ユケイ・アルナーグとして新たな生を受けるが、彼はその世界の誰でも持つという「魔力の目」を持っていなかった。
そのため、彼は世界の理の一つである魔法に全く関与することができず、王家の名誉を守るために幼少の頃から離宮で過ごすことになる。
ちょうどその頃、世界は「鉄の国」の武力侵攻の気配に怯えつつあった。
そして一つの噂が流れる。
禁忌の名を持つ鉄の国の王、通称「悪魔王」は、「魔力の目」を持たないという……
彼が18才を迎えた春、ついに離宮から旅立つ日が来た。
しかしそれは、戦争の気配を察知した宗主国からの、王家の人間を人質に差し出せという命令だった。
幽閉の末、追放されるように国を追われたユケイ。
しかし彼の存在が、世界の形を大きく変貌させていくことになる。