――運命はチートも無双も与えてくれなかったけれど「命の続き」は与えてくれた。
その世界では、「稀人(まれびと)」と呼ばれる存在があった。人が死に瀕して、肉体が死ぬよりも先に魂だけが離れてしまった時、彼、または彼女は稀人として生まれ変わる。それまでの肉体の記憶はそのままに、けれどもう一つ、違う世界の記憶と人格を持って。
稀人たちは、その世界に住む人々よりも進んだ知識を持っていた。その知識で世界の文明、歴史、文化の針を大きく進めるほどに。
稀人たちは一様に言う。「自分たちは異世界に転生してきたのだ」と。そう、彼らは元の世界で命を失って、その世界に現れる。魂を失った肉体の中に、魂だけの存在で入り込む。その世界にあった肉体の、魂の死、そして稀人たちが言う「前世」の彼らの死、二重の死の上に成り立つ存在が稀人なのだ。
チートもなく、ギフトもなく、スキルやステータスもなく。
けれど彼らは「命の続き」を生きる。
そしてこれは、そんな稀人たちと、魔法屋を営む“現地人”のおっさん(美少女)が繰り広げる、日常プラスアルファのお話。