『悪役転生
―レイズの過去を知る―』
彼は、チュートリアルで必ず倒される――
ただの「噛ませ犬」にすぎなかった。
ゲームの序盤で、主人公に斬り捨てられる小太りの中年男・レイズ。
氷と、そして“死属性”という誰にも理解されない力を持ちながら、
その真価を発揮することもなく、プレイヤーに倒されて消える存在。
……だが、あるプレイヤーだけが気づいていた。
「こいつだけ、何かがおかしい」と。
何百回も周回を重ね、レイズの台詞をすべて記録し、
その謎を追い続けたプレイヤー名前不明
そしてある日、彼は気づいたとき――
自分がレイズの身体の中にいた。
転生した先は、ゲームの中。
しかも、“死属性”という烙印を押された、太った悪役キャラ。
だが彼は知っていた。
この力こそ、世界の真実そのものだということを。
無価値とされた属性。
チュートリアルで散る運命。
だが――そこから、すべてを変える旅が始まる。