【第1回ブシロードワークス小説大賞・中間選考通過作品】
【第一章完結/第二章連載中】
「あの……昨夜は、ご満足いただけなかったのでしょうか」
大正時代。結婚式を終えたばかりの夜。
軍人の祥吾と、その新妻・千草は、屋敷ごと見知らぬ異世界の森へ飛ばされてしまった。
屋敷の外には、未知の植物と凶暴な魔物。
水も食料も、この先の保証もない。
妻を守らねばならない――。
そう覚悟を決める祥吾だったが、
「はい。旦那様に食べていただくものは、すべて私が毒味をしております」
「何度か死にかけたこともございました。父からは、味覚が痺れてからが勝負だと」
「そんな勝負をするな!」
動植物学者の父に鍛えられた千草は、山菜を見つけ、薬草を見分け、魔物さえ食材候補として眺める、たくましすぎる妻だった。
一方の祥吾は、妻を守ろうと奮闘するものの、馬には手を払われ、鶏には軽く扱われ、手のひらサイズの屋敷神には振り回される毎日。
やがて、孤独なハーフエルフの少女や、不思議な龍、行き場を失った者たちが屋敷へ集まり、二人だけだった新婚生活は、少しずつ賑やかな「家族」の暮らしへと変わっていく。
そして第二章。
二人の世界は魔の森を越え、南の王国へ――。
どちらが守り、どちらが守られているのか分からない。
不器用で生真面目な軍人の夫と、穏やかで逞しい妻が、異世界で「我が家」を築いていく。
笑えて、ときどき泣けて、最後には心が温かくなる。
大正新婚夫婦の異世界転移サバイバル・ラブコメディ。
なお、夫の威厳は現在も絶賛遭難中である。
毎週火曜・金曜 17時50分更新