(第1部)
魔族と人間の間に生まれた半龍人のアルクス・シルト・ルミナス。
アルと呼ばれるその少年はひょんなことから頭を打ち、前世の記憶を追体験した。
「師匠、ぼく、前世の記憶があるみたいです」
追体験した直後、すぐに異世界からの転生者だとバラしたアルに大あらわの師と母、そして不安そうな幼馴染達。
人格を引き継ぐ転生者にトラブルは付き物。特に人間から魔族への転生は厄介で知られていたからだ。しかし――――。
「いろいろ思い出したことはあるけど、ぼくはぼくのまま。アルクス・シルト・ルミナスのままだよ」
アルは前世の人格を引き継いでいなかった。
安堵し、惜しみない愛情を注ぐ大人達と半魔族がゆえの障害も何のその、幼馴染の鬼っ娘や耳長娘、人狼の少年たちとの絆を深めて真っ直ぐに育っていくアル。
しかし、アルが12歳の冬。
アルの行く末を大きく変える出来事が・・・・・。
そして運命の歯車はゆっくり、ゆっくりと軋みを上げて動き出すのだった。
(第2部)
紆余曲折あって隠れ里の外へ旅立つことになったアルと幼馴染の3人。
目指すは帝都にあると云うターフェル魔導学院だ。
順調な旅路のはずだった。
人里に出て初めて出会ったのは―――――
「私は共和国の交易都市ヴァリスフォルム―――その藩主ノーマン・シェーンベルグの娘、ラウラ・シェーンベルグと言います。
こちらは従者であり共に育てられたソーニャ・アインホルンです」
聖国の騎士に追われる人間の少女2人組。
成り行きで彼女らと共に行動していくことになったアル達4人は半魔族1人、魔族3人、人間2人と世にも珍しいパーティを組んで帝都を目指す。
その旅路で出会うは、様々な人々。
時に縁を、時に友誼を、そして時には闘争を。
彼らの運命の糸は急速に絡み合い、帝国ひいては大陸全土へと変革の渦を巻き起こす。
人間でも魔族でもない存在としてアルは何と戦い、どこを目指すのか?
未熟な半端者が成し遂げる、激動の大陸変革物語。