山を背に海を抱く温泉地綾科市。神や物の怪といった幻想の類が形を持って存在するこの街では、人々はそういうものを当たり前の存在として日々を送っている。
そんな綾科のアパートの二階の一室に貧乏神と一緒に起居している何樫氏は、日々する事のないまま、寝たり起きたり散歩したりして暮らしていた。
ある日、老舗旅館の女将が亡くなり、孫娘が後を継ぐ事になったのだが、彼女は怪異の類を信じていない様で、旅館に住んでいた座敷童子が何樫氏のもとに転がり込んで来る。座敷童子にも新しい女将にも何か事情がある様だが……。
※当作品はフィクションであり、作中の人物、地名、事柄などはすべて創作です。
※作中の妖怪、民俗学、神仏、神事、年中行事などの知識、情報も大体創作や独自解釈です。ちゃんと調べたい人はきっちりした文献に当たる事をお勧めします。
※不定期更新です。