異世界で辺境薬師として生きていた少女・リツカは、
ある日突然、現代日本の海辺の町「星波町」へ迷い込む。
魔法は使えない。
文字も読めない。
見たこともない“鉄の箱”は走り、踏切は鳴り、町には夕飯の匂いが漂っていた。
雨の農道で倒れていたリツカを拾ったのは、農家のおばあちゃん・フミ。
そして、白く大きなサモエドのハクと、地域に頼られる薬剤師・奈緒との出会いが、彼女の日常を少しずつ変えていく。
海風の吹く古民家。
潮の香り。
夜空いっぱいの星。
みなと薬局で触れる現代医療。
町の人たちとの穏やかな時間。
人を救うことだけを考えて生きてきた薬師は、やがて知っていく。
――“暮らす”ことの温かさを。
これは、魔法をなくした少女が、
小さな海辺の町で「帰りたい場所」を見つけていく、優しい逆異世界物語。