現代の製造業で、生産技術に携わっていた男。
目を覚ますと、そこは戦国時代の堺だった。
鉄砲鍛冶の家に生まれた少年・虎松として第二の人生を歩み始めた彼が目にしたのは、名人たちの驚異的な技と、その腕に頼り切ったものづくりだった。
寸法が違う。道具が違う。作り方も人によって違う。
それでも、良い物はできる。
ならば、それをもっと多くの人が、もっと安定して作れるようにしたらどうなる?
当て金、共通の尺、治具、工程管理、分業、図面、そして水車動力。
虎松が持ち込むのは、未来の超兵器でも万能な発明知識でもない。
「ものを作る仕組み」そのものだった。
一挺の鉄砲を上手く作る職人ではなく、二十挺、百挺を皆で作れる工房へ。
頑固だが腕は確かな父・源兵衛、職人仲間、商人たちと試行錯誤を重ねながら、小さな鉄砲鍛冶は少しずつ姿を変えていく。
これは戦国の堺から始まる、元エンジニアのものづくり革新録。