春休みのある日、アパートの隣に引っ越してきたのは、黒髪がよく似合う美少女だった。
ただのお隣さん。
水が出ないと困っていたところを助けたり、引っ越し蕎麦をもらったり。
小さな交流はあったが、お隣さんの枠を出ない関係。それだけだと思っていたのに――
新学期、学校でも、バイト先でも。
偶然が重なった結果、生活のあちこちで彼女と顔を合わせるようになっていた。
同じ高校に通う、バイト先の後輩。
気づけばいつも一緒にいて、でもそれはただの巡り合わせでしかなかったのだけど、
「――……雨下さんと付き合ってるってほんとか?」
傍から見ると、“彼女”になるらしい。
※この作品は『カクヨム』『小説家になろう』『Tales』に掲載しております※