一着の裂けたドレスが、奴隷少女の運命を変えたのである。
人見知りで気弱な奴隷少女ブランシュは、主人の伯爵が失脚したことで王宮へ送られる。
ある日、第五王女のドレスが何者かに裂かれた。
誰もが困惑するなか、ブランシュだけはドレスに残された小さな違和感に気づいてしまう。
その観察眼と裁縫の知識に目を留めたのは、第三王子イヴァンだった。
彼に見出されたブランシュは、事件をきっかけに王宮のランドリーメイドとして働くことになる。
ところが、ブランシュは刺繍の仕事を押し付けられる。その刺繍が思いがけず評価され、ランドリーメイドから縫い子へと昇級することに。
刺繍、ほつれ、染料、汚れ――。
ブランシュの1針が王宮を動かしていく。
だが、奴隷という身分に縛られ、自分から何かを変えようとすることもできないブランシュ。
それでも、針と糸を通じて出会う人々との関わりが、ブランシュの世界を少しずつ広げていく。
これは裁縫によって人々の心を紡いでいく物語。