父から継いだ何でも屋で働く店員・かおりは、店の奥の倉庫で在庫整理をしている最中、突然の光に包まれ意識を失う。目を覚ますと、倉庫はそのままの姿で存在していたが、外に出るとそこは見知らぬ森の中だった。
倉庫ごと異世界へと転移してしまったのだ。
水も電気もなぜか使える倉庫、そして防災用に備蓄していた食料。在庫と工具に囲まれた環境を拠点とし、かおりはまず生き延びるための準備を整えていく。周囲の状況が分からない以上、無防備ではいられないと判断し、ある物を使って即席の槍や簡易防衛設備を自作する。
そんな中、森の気配に異変を感じたかおりは、簡易警報の音をきっかけに、猫族の戦士ミリャと遭遇する。互いに警戒しつつも戦いにはならず、会話を通して事情を共有することに成功する。
かおりは自分が別世界から転移してきた何でも屋であることを、ミリャはこの森を巡回する猫族の戦士であることを語る。互いに敵意がないと確認した二人は、「情報の交換」という形で協力関係を結ぶ。
こうして、倉庫ごと異世界へと転移した何でも屋は、森の中で静かに動き始める。
戦いではなく、準備と会話から――
かおりの異世界での生活は、まだ始まったばかりだった。