ーー姉は僕のことを病的なまでに愛していたーー
愛は簡単に人を狂わせ、壊し、自我を喪わせる。
そう気付いたのは義理の姉に狂気とも言えるほどの愛情を押し付けられ、僕の精神が壊れ女性恐怖症へと陥ってしまった後だった。
愛されることの、そして裏切られることこ恐ろしさを知った僕の傷がもう誰も愛せなくなるという残酷な現実を無慈悲にそして淡々と伝えていた。
だけどそんな中、僕と同じ傷を抱えている女性と出会うこととなる。
彼女と触れ合う中で、女性恐怖症を患い世界からも見放されたと思っていた僕の世界が音を立てながら変わり始める、そんな予感がしたーーー
狂気とも呼べる愛を向けてくる義姉
同じトラウマを抱えるクラスメイト
想い人に置いていかれた義妹
そして想い人を見捨ててしまった幼馴染
「私はあなたしか見えない」
「お兄ちゃんを返して」
「ユウランは私のモノよ…」
「信じて貰えないと思うけど……あたしはアンタのこと…愛しているんだよ」
各々が抱えている愛憎が交錯する時。
物語は動き出す。
僕と君は、愛せない。