「失敗作め。無能なお前に用はない」
帝国屈指の名家に生まれながら、相反する二種の魔法《構成魔導》と《霊素魔法》を両親から受け継ぎ、同時に教育させられたフロナ。その過酷すぎる反動で魔法が使えないように見えていた混ざり物の彼女は、「出来損ない」と蔑まれてきた。
それでも愛する皇太子セドリックのため、フロナは密かに二つの魔法を駆使し、彼の欠陥を埋め、政務のすべてを裏から完璧に代行していた。
だが、功績を自分のものと信じ込んだセドリックから宣言されたのは、無情な婚約破棄と辺境への追放だった。
「……わかりました。私、もう助けませんから」
しかし、皇太子は知らなかった。
彼が「優秀な次期皇帝」でいられたのは、フロナがいればこそ。
彼女がいなくなった瞬間、帝国の政務は破綻し、セドリックの評価は地に落ちていく。
一方、辺境で縛りから解放されたフロナは、眠っていた真の力を発揮。
そこで「冷徹」と恐れられる辺境伯に出会う。
「君を失敗作などと呼ぶ奴らは、目が腐っているな。……もう、どこへも行かせない」
全てを失ったはずの令嬢は辺境で最高に愛され、彼女を捨てた帝国は自業自得の破滅を辿る――。
今さら「戻ってきてくれ」と泣きつかれても、もう遅い。
――私は、ここで幸せを見つけましたから。