聖女リーゼは十年間、万の民を癒やしてきた本物の聖女だった。
だが偽聖女クラリッサが用意した告白書によって、「己の栄華のため国を悪魔に売った異端者」に仕立てられ、万の民に罵られながら斬首される。
――先に言っておくが、悪魔と契約したという罪状だけは事実だ。
十年前、疫病から国を救うため、リーゼは死後の魂を対価に私と契約した。
私はその極上の魂が熟成するのを、十年間待ち続けた悪魔ザガンである。
ところが、契約どおり受け取った商品は、冤罪の憎悪を浴びて泥まみれになっていた。
……私の商品を、汚したな?
私はリーゼの骸に憑依し、処刑から三日後、聖女の顔で大聖堂へ帰還する。
護衛の裏切り、侍女の偽証、偽りの奇跡、教会の汚職。
嘘を一枚ずつ剥がすたび、リーゼの魂は輝きを取り戻し、嘘つきどもは利子ごと堕ちていく。
これは愛でも正義でもない。ただの取り立てだ。
――少なくとも、悪魔はそう言い張っている。
※全15話、完結まで予約投稿済み。初日3話、以降は毎日18時10分に更新します。