病弱だった体を疎まれ、山で命を絶とうとした少年ライル。
謎の師匠に拾われて五年、彼が来る日も来る日も続けたのは、名もなき奇妙な体操と、武術とは到底思えない体の使い方だけだった。
ある日突然山を降ろされた彼は、自分が身に着けた技術の正体を知るため、とある剣術訓練場を訪れる。
――そして、世界は震撼する。
彼が披露した何気ない「基本の動き」が、天才剣士たちを赤子のようにあしらう神技だと、ライル自身は全く気づいていないのだ。
「俺は、人並み程度に健康になっただけなのに……」
これは、己を最弱と信じる心優しき青年が、その圧倒的な実力で周囲の勘違いを雪だるま式に加速させていく、無自覚最強ファンタジー。