二〇二六年十二月七日。
日本列島は突如として、太平洋戦争開戦前夜の一九四一年へと転移した。
しかし、そこにはすでに、もう一つの日本が存在していた。
大日本帝国と、八十五年後の日本国。
異なる時代を生きてきた二つの日本が、同じ世界に並び立つという、歴史上あり得ない事態が発生したのである。
現代日本の内閣総理大臣・榊原直人は、目前に迫る真珠湾攻撃を阻止するため、大日本帝国政府との交渉を開始する。
圧倒的な科学技術と軍事力を持つ現代日本。その一方で、昭和の世界に取り残された日本は、石油や食料、医薬品などの輸入が途絶えるという深刻な危機に直面していた。
やがて未来日本の存在は、世界各国の知るところとなる。
アメリカは未来の日本との協調を模索し、ドイツは敗戦の歴史を覆そうと動き出す。ソ連は自国の崩壊という未来を知り、中国では国民党と共産党が新たな歴史の主導権を争い始める。
そして大日本帝国内部でも、未来の知識を利用して戦争を回避しようとする者と、その技術によって帝国の勝利を実現しようとする者が対立していく。
本来起こるはずだった真珠湾攻撃。
ミッドウェー海戦。
東京大空襲。
広島と長崎への原子爆弾投下。
そして、昭和二十年八月十五日の敗戦。
未来を知る者たちの介入によって、それらの歴史は少しずつ姿を変え始める。
だが、歴史を変えることは、必ずしも人々を救うことではなかった。
救われるはずのなかった命が生き延びる一方で、存在するはずだった未来が失われ、新たな戦争の火種が世界各地に生まれていく。
日本は、二度目の昭和をどう生きるのか。
そして、歴史を知る者たちは、まだ見ぬ未来に何を残すのか。
これは、二つの日本と世界の指導者たちが、決して正解のない歴史に挑む物語である。