多種族の中で、人間は劣等種族――そんな世界。ハイリヒ王国はアンガスティグ皇国と長年戦争を続けている。
その戦場に『紅いカナリヤ』と呼ばれる少女がいた。少女の名はスカーレット=クライン。
劣等種族のスカーレットは使い捨ての斥候『カナリヤ』に出されることが多かったが、必ず生き残ってきた。
ある日スカーレットは不穏な動きをする敵陣の様子を見るため、斥候に出される。その様子を遠くで眺める、軍参謀部の少将がいた。
竜人のアルサリオン=ヴァレンディル。
アルは荒野を一人駆けていくスカーレットを見て、直感する。
『あの紅髪の人間の女が、俺の番だ』
そのとき、敵陣の地面に魔法陣が浮かび上がり、醜悪な召喚獣が出現。アルは必死にスカーレットを助ける。
九死に一生を得たスカーレットは病室で、アルから「俺の番」と告白されて、困惑する。