マルムフォーシュ王国の双子姫の一人――サティシア。
わずか三歳で《魔力石化症》を発症し、辺境の別邸で療養していた。
だが、敵国の侵攻に際して、王は姫を見捨てる決断を下す。
従者に救われ脱出するも、病は悪化し、幼い命はまさに尽きようとしていた。
同じ頃、ガルターニュ王国。
名門グランフェルト侯爵家の令嬢エルネスタは、卒業舞踏会の夜に婚約破棄を宣告され、
さらに仕組まれた罠によって追い込まれる。
絶望の果て、彼女は自ら死を選んだ――はずだった。
赤い月の夜、弱りゆく姫と、絶望の令嬢。
二つの魂が出会う時、新たな運命が動き出す――。
奇跡の夜を越えた二人は、
自由を求め、未知の世界へと歩き出す。