※旧タイトル:【記憶喪失の悪女は、夫の愛の檻に囚われる】
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2025年6月29日に改題しました。
侯爵夫人ミレイナ・エルフォードは、階段から転落し――すべての記憶を失った。
目覚めた先にいたのは、冷たい目をした夫ユリウスと、怯える使用人たち。
どうやら彼女は、かつて仲睦まじい婚約者同士を引き裂き、
正統な婚約者を排除してまで、ユリウスを自分の夫に“奪った”悪女だったらしい。
執着と嫉妬に塗れた策略――誰からも恐れられ、忌み嫌われていた過去。
けれど今の彼女には、その記憶も、なぜそこまでして彼を手に入れようとしたのか、その理由さえもわからない。
罪悪感に苛まれたミレイナは、夫に離婚を申し出る。
それが彼を――再び狂わせる引き金になるとも知らずに。
「……は?
離婚?
君がそれを言うのか?
俺を地獄に引きずり込んでおいて? ――そんなの、絶対に許さない」
記憶を失った“元・悪女”と、彼女を許せない夫。
愛と罰が絡み合う、その関係の先に待つのは――救いか、破滅か。