昔々、平安の世。
都には、憎悪と欲望のままに人を喰らう鬼たちが蔓延り、暴虐の限りを尽くしていた。
しかし、そんな鬼たちですら畏れる異端の祓い屋一族が存在した。
その一族は、古くから陰陽道に通じ、人喰いの鬼を滅することを生業としていた。
そして、彼らには代々受け継がれてきた禁断の儀――“鬼喰(おにくい)”の儀礼があった。
それは、鬼を捕らえて喰らうという、あまりに異質で忌まわしき儀式。
この風習ゆえに、一族は他の祓い屋からも恐れられ、決して表舞台に立つことはなかった。
いつしか一族の名は歴史からも抹消され、ただ影の中で、帝の近衛として静かに仕えていた。
その一族の名は――栄神(えいじん)。
そして、当主の名は静夜(しずよ)といった。
――時は流れ、令和の現代。
ひょんなことから栄神の血を継いでいた男が、国すらも揺るがす事態へと巻き込まれていく。
これは、しがない自称フリーのWEBエンジニアの、異能と運命に翻弄される物語――。