海に面したK市の沖合にある小島。
元々は漁業が盛んだったころに補助の港として作られた小さな港があるだけの直径2キロにも満たない島だ。
そして、三十年前、ある人物がその島を買った。
それが自分の祖父で、彼は木彫りの彫刻家だった。
もっとも、こっちの世間で有名ではなかったし、作品はこっち側にはほとんど出回らなかった。
だが、パトロンがいたのだろう。
かなりの大金を持っており、この島を買った後、港を強化して三階建ての建物を建てた。
勿論、アトリエとして……。
だが、半年前、祖父が亡くなり遺言によってその島を譲られた。
風変わりな造形師である自分に。
そして、知る事となる。
祖父の秘密を。
そして、僕は始めることにした。
造形専門店『三島工房』を……。