剣と魔法、そして「スキル」がすべてを決める世界。
人々は生まれつき覚えられるスキルのランクに縛られ、S級スキルを持つ者こそが勇者と称えられていた。
モブオは、かつて勇者アレスのパーティーの一員だった。
皆がC級スキルから冒険を始め、笑い合い、助け合ってきた日々。
しかし冒険が進むにつれ、アレスたちはB級・A級スキルを次々と覚醒させ、モブオだけがC級のまま取り残されていく。
そして
「これ以上成長が望めない君とは、ここでお別れだ」
あっけなく、そして冷酷に。
モブオは小さな町に置き去りにされた。
だが彼には、誰にも明かしていなかったレアスキル《+(プラス)》があった。
それはスキルのランクを上げるのではない。
スキルに“回数”と“重ね掛け”を追加する力だった。
C級スキル《殴る》に+を重ねれば、《連打》になる。
10個重ねれば、10連殴る。
守るに重ねれば、重ね守る。
ファイヤーに重ねれば、連続ファイヤー。
評価されなかったC級スキルは、
重ねることでS級すら超える“真の力”を持っていた。
旅の途中で出会うのは、
落ちこぼれと蔑まれた魔法少女モモ。
肉壁扱いされ、誰にも期待されなかったアーマーナイト・デブリ。
誰もが「役立たず」と切り捨てたC級スキル持ちたち。
しかしモブオの《+(プラス)》は、彼らの未来をも変えていく。
やがて世界は、魔王軍とドラゴンによる破滅の危機に直面する。
S級スキルに頼り切った勇者アレスたちは、
「重ねること」を知らず、壁にぶつかっていく。
これは最弱と呼ばれたC級スキルだけで、世界を救う少年の逆転下剋上ファンタジー。
モブオが見た《+(プラス)》の未来とは何か。
そして、真の「勇者」とは何か。