中央大陸セントラリアの西部丘陵、港町エスメラルダ。
かつて王立学院冒険課を卒業し、親友レイジたちと共に名を上げた探索者セイル・ノクティスは、今では「便利屋セイル」と呼ばれ、雑用じみた依頼をこなしながら静かに暮らしていた。
彼が表舞台を去った理由。それは彼の持つ固有スキル《ディバインシフター》。それは他のスキルのように魔法や身体能力の強化やサポートではなく、女神そのものへと変身する特異な力。使用すれば圧倒的な力を発揮できる一方で、使うたびに身体と存在が女神へ侵食され、やがて“セイル”ではいられなくなる危険を秘めていた。
そんな彼の前に、突如現れたのはカイ・ベルゼルド。まだ8歳の少年であるカイは強力なSランクスキル《黎明の加護》を持つがゆえに、聖職者にして公爵であるレガリアス・ベルゼルトに養子として利用され、救世主として育てられる名目で虐待を受けていた。逃げ延びたカイを見捨てられなかったセイルはそのお人好しの性格から文句を言いながら面倒を見ることにする。
貴族の養子を勝手に保護する。場合によっては誘拐犯扱いの面倒ごとに頭を悩ませながら、どうにか丸く収める方法を探る。
『便利屋セイル』の腕の見せ所、で終わるハズだった。
次から次へと迫りくる問題と脅威。『黎明の加護』だけではなく『ディバインシフター』まで狙い始めたベルゼルト卿の狙いは?
彼が信奉する国教『天律聖教』の闇と陰謀が彼らを運命の渦に巻き込んでいく。
かつて袂を分かった親友レイジ、セイルを案じる元パーティーメンバーのリリアとアルヴィン、そしてギルドから派遣されたセイルの変化を記録し続ける元受付嬢のミリア。それぞれの想いが交錯する中、セイルは問い続ける。誰かを救うために、自分を失う力を使っていいのか。
「子供が泣いてる世の中が正しいワケがねぇだろうがよ!!」
正義と救済の名の下に暗躍する敵を前に、彼は彼のまま、答えのない答えを探す。
「『ディバインシフト・アテナ』!!」
これは、女神になれる男が、悩み苦しみながらもひとりの少年と自分自身を守り抜こうとする物語。
※本作品は構成上、BL的GL的、男女差に関する表現を含みます。苦手な方はご注意ください。
またジャンル上、TSタグを付けていますが性転換的描写等は特異なモノの可能性があります。愛好家の皆様方にはご理解の程よろしくお願い申し上げます。※