鬱病で借金癖のある父を抱えた私・香澄は、トリプルワークで生活を支える苦労人。
自分を哀れむことなく必死に生きてきたけれど、いまだ沼から抜け出せず、気づけば男性からハズレ扱いされる独身アラフォーになっていた。
どんなにがんばっても、光は見えない。そんな現実に気がついて、ふと弱気になった雪の夜。
死にかけていた野良の子猫を助けようとした私は交通事故に遭い、あっけない幕切れを迎えた――はずだった。
哀れな意識は、宇宙めいた「無」の空間を漂いながら、不思議な声を聞く。
「ねぇ知ってた? 猫は十の命を持ち、十の世界で生きているんだニャ。そのうちのひとつ、君にあげるニャ」
夢から覚めると、そこは異世界。西洋ファンタジーを実写化したような煌びやかな部屋に立っていて、目の前には彫像のごとき立派な容姿をした黒髪、青い瞳の美丈夫が――。
私を「アレクシア」と呼ぶ彼は、冷たく言った。
「――いいだろう。離婚に応じよう」
転生先の肉体は、「毒猫」と呼ばれる嫌われ悪女!?
人妻らしいですが、離縁されるようです……。
棚ボタの第二の人生で今度こそ幸せを掴みたいと奮闘する、等身大の異世界転生ファンタジー。
※ベリーズカフェ、カクヨムにも掲載しています。
(なろう掲載版はガイドラインに鑑み、一部ページの描写に調整を入れております)