「こんなところで一生暮らせってのかよ……」
現代日本から異世界へ転移した主人公。
成り行きで王族を助けた結果、その褒美として男爵位と領地を与えられることになった。
おまけに異世界へ来たことでチート能力にも目覚める。
字面だけ見れば、理想の異世界転移主人公そのもの。
だが現実は甘くなかった。
与えられたのは、魔物は多い、物流は行商人頼み、金もない、辺境のどうにもならないクソ貧乏領地。
領地持ちの貴族って、もっと贅沢な暮らしができるんじゃなかったの?
こういう能力持ってる人って、もっとこう……かっこよく戦ったりとかさぁ。
欲しいのは、名声でも英雄の称号でもない。
安全で便利で、できれば働かずにのんびり暮らせる生活。
そのためなら現代知識も、制度の穴も、ハッタリも悪知恵も、使えるものは何でも使ってやる。
領民を救うためでも、立派な領主になるためでもない。
全部、自分が少しでも楽して暮らすためだ。
そんな小悪党の思惑とは裏腹に、彼の企みは少しずつ、このどうしようもない辺境領地を変えていく。