大学の古びた研究棟にある、物置き寸前の研究室。
理系大学生・涼也(りょうや)は、バイト代のほぼ全てを高価なGPUにつぎ込み、親友のオタク系天才プログラマー・悠二(ゆうじ)と共に、「感情を学ぶ」能動学習型AI──陽花(はるか)の開発に明け暮れていた。
──問題は、金がなさすぎること。
食費すらままならず、昼飯は牛丼屋で「納豆とご飯、つゆだくで」なんて謎注文をする始末。
そんな彼に、バイト中の同級生女子・三千花(みちか)は、鋭いツッコミと冷ややかな目線を向けてくる。
「つゆだくは、牛丼頼まないと出しちゃダメです」
……はい、すみません。
でもこの日を境に、涼也の日常は静かに、しかし確実に変わっていく。
食費ギリギリの理系男子が、AIと女子に“心”を学ばされる物語。