「平民の血が混じった女など要らない」
——王太子アルベルトに衆目の中で婚約を破棄され、その夜には刺客まで放たれた薬師令嬢リーナ。
すべてを失ったはずのその夜、隣国の密偵に救われたリーナは、気づけばヴァルテア王国の王城で専属薬師として働くことになる。無口で冷淡、誰にも心を開かないと噂される国王カイルは、しかしリーナの腕と真っ直ぐな瞳に静かに惹かれていく。
二十年誰も治せなかった持病に向き合い、夜ごと薬師房で言葉を重ね、距離が縮まるにつれ、リーナの胸にも確かな温もりが芽生える。
元婚約者が「戻ってこい」と膝を屈するころ、リーナはすでに——。