王太子セドリックによって、婚約破棄と断罪を言い渡された公爵令嬢エレノア・ヴァレンティア。
聖女への嫌がらせ、不敬、嫉妬――そうして彼女は“悪役令嬢”として、満場の前で罪人にされた。
だが、その場にいた王宮記録院の若手記録官ルカ・エヴァレットは気づく。
提出された証拠には受理印の不備があり、証言記録には不自然な揃いがあり、正式照合に必要な原本まで存在しなかった。
この国で人を裁くのは、感情ではない。
契約、証印、議事録、提出記録、保管記録――正式な手続きを踏んだ記録だけが、人の運命を決める。
剣も最強魔法も使わない。
使うのは、証拠と制度と論理だけ。
これは、悪役令嬢として断罪された公爵令嬢を、王宮記録官が記録の側から救い出していく物語。
そして同時に、正義の名を借りた“断罪そのもの”を裁く、宮廷逆転劇である。