病弱な幼馴染を優先して婚約者が何度も約束を破るたび、王立学園創立祭の会議を回し、書類を整え、後始末をしてきたのは婚約者であり記録係でもあるエレノアだった。
周囲はそんな彼を「優しい」と褒め、エレノアを「理解ある婚約者」だと言う。けれど実際には、彼の不在を埋めるために予定を削り、役目を引き受けていたのはいつも彼女のほうだ。
自分は婚約者ではなく、都合のいい裏方だったのだと気づいたエレノアは、もう彼の不在を埋めないと決める。委員長確認が必要な書類は保留。記録にも残す。
“聞き分けのいい婚約者”をやめたその日から、周囲は初めて、本当に空いていた委員長席に気づきはじめる。
これは、誰かのための物語を支える役を降りた令嬢が、自分の頁を取り戻していく物語。