現代にダンジョンが出現し、誰もが「英雄」や「カリスマ配信者」を夢見る時代。
無職の青年・阿久津
煉(あくつ
れん)が授かった唯一無二のスキル、その名は『シャドウ・強奪者(プレデター)』。
しかし、その発動条件はあまりにも過酷だった。
「目出し帽を被り、全身黒ずくめで、バールを手にし、周囲に恐怖を与えること」。
……これ、完全に銀行強盗じゃねーか!
まっとうに生きたいのに、スキルが発動した瞬間、身体能力は「中の上」程度にアップ。さらに魔物からアイテムを剥ぎ取る「カツアゲ」能力まで開花してしまう。生きるために背に腹は代えられない阿久津は、職務質問と通報に怯えながら、深夜のダンジョンを『不審者スタイル』で走り抜ける。
配信の同接は伸びる。ただし、コメント欄は**「通報した」「自首しろ」「実写版・犯人の犯沢さん」**という罵詈雑言の嵐。
警察の包囲網をかいくぐり、誤解に誤解を重ねながら、阿久津は(見た目だけは)最凶の配信冒険者として、図らずも世間の注目を集めていく。
「お巡りさん待って!
これはコスプレじゃなくて、俺の『正装』なんです!」
これは、史上最も応援したくないヒーローが、町内の平和と自分の口座残高を守るために奮闘する、涙と笑いの不審者コメディ。