犬猿の仲として知られる二つの公爵家――
グラーフ家とローゼン家。
そんな両家の間で、誰にも知られず想い合っていたのが、愛想はいいが断れない性格の公爵家嫡男マティアスと、孤高のクール系令嬢として知られるヘレーネだった。
親に反対され、学園でも堂々と会えない関係。
この状況に疑問を抱いたヘレーネは、「私たちは悲劇の恋に酔っているだけではないかしら」と冷静になろうと距離を置くことを提案する。
だがその時間は、マティアスに自分の嫉妬と独占欲、そして「失うかもしれない恐怖」を突きつけるものだった。
そんな中、ヘレーネに別の婚約話が浮上。
追い詰められたマティアスは、人生で一番格好悪い告白未遂をしてしまう。
しかし――
それを受け取ったヘレーネは迷うことなく彼の手を取り、両家当主の前へと連れて行く。
強引で、鮮やかで、そして圧倒的に彼女らしいやり方で。
覚悟がなかったのは、想いではなく言葉だけだった。
不器用な青年が、自分の気持ちを認め、人生を選び取るまでの物語。
※本編完結後、皇女や友人たちの視点から描かれる番外編では、二人を取り巻く誤解や余波、そして「覚悟のその後」が描かれる。