「そして王子様と幸せに暮らしました――のはずだった。」
王子と結ばれたシンデレラを待っていたのは、政略結婚と血で血を洗う王国の現実。
宗教対立、裏切り、戦争、そして次代へと受け継がれる王家の宿命。
おとぎ話の姫が、いかにして歴史の荒波に立ち向かうのか。
これは一人の王妃から始まる、王国興亡の物語。
※ご注意:異世界やチート能力は登場しません。本作は、史実を土台にしたリアル志向の群像劇です。
登場人物たちが、時代に翻弄されながらも懸命に生きる姿を描いています。複雑にからまった伏線、人間ドラマを少しでも楽しんでいただければ嬉しいです。
【第一部】エレノア・ジュリエット編
舞台はまだ暗黒の中世が終わるか終わらないかの1400年代中頃、シンデレラが嫁いだ先は、神聖ローマ帝国と法王庁や経済大国の海洋国家に挟まれた、政治的経済的に不安定な中小都市国家。
そこは宗教対立、教皇派と皇帝派の争い、領土争い、後継者問題、飢饉、疫病などの社会不安がつねにつきまとい、政治的駆け引きや陰謀が渦巻く時代だったのです。
そんな時代に、シンデレラの恋愛は、大きく変容せざるを得なかったのです。
エレノアと名を変えた主人公は、不安と騒乱の多い時代の波の翻弄されながら、夫、恋人、その子どもたち、周囲の人々との関係に悩みつつも、自分を信じて強く生きていき、次の世代へとつないでいく、複雑に絡まる人間群像劇です。
【第二部】ジュリオ・パオロ編
エレノアの父方の子孫であるジュリオ。そのジュリオが代々家に伝わる『宝剣』について調べはじめたことから、ジュリエットと出会い、そこから大きく運命が動き出します。
第一部で活躍した世代はほとんど舞台を去って、次の世代、さらにその次の世代の運命が動き出します。時代は1400年代後半~1500年代の初め
この時代もカトリックとイスラムの対立、領土をめぐる戦争、疫病、交易に関する争いなどの社会不安がありつつも、自分の価値を見いだそうとそれぞれに懸命に生きていく人々の群像劇です。