山間の寮に暮らす大学生たちは、先輩から奇妙なルールを聞かされる。「夜十二時以降、廊下やドア越しに名前を呼ばれても、絶対に返事をするな」。守れば何も起きない。ただし破れば、翌朝その部屋は空になる。半信半疑の主人公は、実際にルールを守った夜、無事に朝を迎える。しかし安心は長く続かない。別の学生が名前に返事をし、姿を消したのだ。
やがて分かってくる。名前を呼ぶ“声”は、必ず一人だけ本物が混じっていること。そして全員が生き残るためには、誰か一人が返事をしなければならないこと。追い詰められた中で、主人公は選ぶ——返事をしない側で居続けることを。
朝、寮は静かだった。空いた部屋の名札には、主人公の名前が貼られている。彼はまだ、自分が呼ばれていない理由に気づいていなかった。