夏休み最後の一週間。
存在感の薄い高校生・瀬名湊斗は、幼なじみの朝倉ミカとともに、花火大会を控えた三架町で奇妙な出来事に巻き込まれていく。
スマホの顔認証に失敗する朝。
出席簿から消えた自分の名前。
ノイズ混じりの町内放送。
旧体育館に残された謎の記録装置。
そして、そこに表示されていたのは、まだ起きていないはずの記録だった。
八月三十一日、午後十一時四十一分。
朝倉ミカ、死亡記録。
明るく笑うミカは、何かに怯えていた。
けれど彼女は、なかなか「助けて」と言えない。
湊斗はミカを救おうと走り出す。
だが、八月三十一日の夜、彼女は必ず死ぬ。
白石先生の沈黙。
黒瀬リョウの不審な警告。
雨宮レンが追う、三年前に消された少女の記録。
ラムネ瓶、ハズレ棒、青いヘアピン、ふざけたノート。
一見どうでもよさそうなものが、少しずつミカの死の理由へつながっていく。
ミカを救うには、誰か一人を止めるだけでは足りない。
町が隠したこと。
大人たちが言えなかったこと。
消された名前。
間違えた善意。
そして、湊斗自身が忘れている三年前の真実。
すべてを明らかにしなければ、夏は終わらない。
八月三十一日を越えるために。
大切な人を、今度こそ失わないために。
湊斗は何度でも、彼女の名前を呼ぶ。
夏が終わる前に、君の名前を呼ぶ。