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取得日時> 2026-06-10 12:19:05
勇者パーティを追放された値付け士、悪役令嬢の領地を安売りさせない 〜買い叩かれた辺境で、価値を取り戻す商売を始めます〜
「お前はいつも金の話ばかりで仲間を信用しない」
勇者アレスにそう告げられ、補給係兼値付け士のノア・レインズは、遠征前に勇者パーティを追放された。
剣も振れず、魔法もろくに使えない。
そんなノアにあるのは、物の適正価格、損失、買い叩かれ度が見える【損益眼】だけ。
危険な装備を止めたのも、無理な遠征に反対したのも、仲間を守るためだった。
だが、その目は誰も見たくない損失まで見えてしまう。
勇者たちにとってノアは、前に進む勇気を削る、金勘定ばかりの男でしかなかった。
行き場を失ったノアが王都の市場で見たのは、婚約破棄され「悪女」と呼ばれる令嬢、クラリス・エルネスタの領地産羊毛布だった。
本来なら銀貨七枚の価値がある布。
それが、悪評につけ込まれ、銀貨二枚で買い叩かれようとしていた。
「この布は、半値で売るものではありません」
だが問題は、布の品質だけではなかった。
悪評で失われた信用。
説明を省いてしまった領主代行。
誇りを傷つけられた職人たち。
そしてクラリスは、布だけでなく、自分の失敗にも半値札を貼っていた。
ノアは【損益眼】で、売れない理由を見抜いていく。
安すぎる値段。
届いていない説明。
間違った売り場。
削られ続けた職人の誇り。
数字には出ない信用の損失。
一方、ノアを失った勇者パーティでは、誰も小さな損失に気づけなくなっていた。
これは、売れない商品を安売りする話ではない。
買い叩かれた布と、職人と、領地と、悪女と呼ばれた令嬢。
そして追放された値付け士自身が、もう一度、自分たちの価値を取り戻す話。
「価値を下げるな。売り方を変えろ」
半値札を剥がすところから、安く見られた者たちの反撃が始まる。

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